メーカー製スピーカーは完璧か?

某所で話題になっている某メーカー製スピーカーの位相とタイムアライメントに対する考察(妄想とも言う)です。

このスピーカーはステレオサウンド誌のリファレンスにも使われていたはずです。

解っていること

  • 以前はミッドのハイカットは2次、ツィーターのローカットは3次で正相接続だった
  • ダイヤモンドツィーターに変更されたときにツィーターのローカットは1次に変更された
  • 以前とはクロス周波数での位相が180度変わってしまったが、ツィーターを逆相にはしないでツィーターの位置を半波長前に出すことで対応した。

ここから先は素人スピーカービルダーのassiが妄想全開で考察していきます。

まず、ツィーターのローカットですが3次や1次では計算が合いません。 これは多分ツィーターのメカニカルなローカットが-6dB/Octあるということだと思います。 電気的に3次のローカットならばメカニカルな-6dB/Octと合わせてトータルで4次の-24dB/Octになっていると考えられます。 電気的に1次ならばトータル-12dB/Octと考えます。

バターワースで計算していきます。 クロス4kHzでハイカット-12dB/Oct、ローカット-24dBの場合の合成特性を示します。

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このように完全にフラットでは無いですが、良い特性です。これをハイカットはそのままでローカットを-12dB/Octにするとクロス付近で逆相になるのでディップが出来ます。

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ツィーターを正相のままで約4cm前に出すとこうなります。

c0002_3.png

これで周波数特性的にはとりあえず辻褄があった状態になります。

しかしこの条件(ローカット・ハイカットともに-12dB/Oct)で普通に考えればツィーターを逆相で接続すると思います。 逆相接続で評価の高いスピーカーはいくらでもあります。 このメーカーはなぜ逆相を避けて、タイムアライメントが多少ズレてでも正相接続にしたのでしょうか?

私は音質上のためではなくサラウンドのマルチチャンネル(チャンデバ使用じゃなくて5.1chや7.1ch)を考慮したためだと想像します。 これ以前のモデルでもスタジオでのサラウンドモニターとして使われています。 もしサラウンドモニターで使用していたものをフロントの2chだけ新しいモデルにしたとすれば、新モデルのツィーターが逆相ならばフロントとリアがうまく繋がらないことになります。 これを避けるために正相接続にこだわったのではないのか?

ではなぜツィーターの電気的ローカットを-18dB/Octのままにしなかったのか? これは音質上の問題だと思います。新型ツィーターにしてf0を下げることが出来てインピーダンス補正をしない単純な-6dB/Octの電気フィルタでも十分な特性が出るようになったのでしょう。 インピーダンス補正も高次のフィルタも必要なければ使わない方が有利です。 (もちろん必要なら使った方が特性が良くなります)

ミッドのハイカットを4次にして-24dB/Octにしても正相接続にできます。 しかしこれも音質上の理由で却下されたのでしょう。 このメーカー自慢ののケブラーミッドレンジは高域にイヤな共振を持たない素直な特性が売りなのに高次のフィルターを入れたのでは意味がありません。

優れたユニットを開発したのでシンプルなネットワークにしたい。 しかしスタジオモニターとして前機種と位相を大きく変えたくない。 しょうがないのでツィーターを前に出して辻褄を合わせた。

素人のassiの想像なので間違っている可能性の方が高いでしょう。

大手メーカーは素人には及びもつかない設備があり、測定や試作も十分な時間をかけてできます。優秀な設計者もいます。 しかし、そこには大手メーカーならではのしがらみもあります。設計者の自由なスピーカーが作れるとは限りません。だから優秀な設計者が他社に移動したり自分でメーカーを設立したりするのでしょう。 みんなメーカーに幻想を抱きすぎ。

私の作ったスピーカーがこのメーカーのスピーカーに勝てるのかと言われたらまあ無理です。けれども誰にも遠慮せずに(コストと技術の許す限り)自分の好きなようにスピーカーが作れます。

2014年11月7日